拠点間VPN経由のNASの動作が遅い場合の対処法
会社で使用しているデータを、LANに接続されたストレージに保存し、他の社員と共有することは、現在では一般的になりました。
そういったときに活躍する安価なストレージがNASです。
NASとは、「Network Attached Storage」の略で、LANに接続して使用するファイルサーバー専用機のことです。小型で安価なものが多い割に、バックアップ機能が備わっているので、高機能で信頼性も高くになってきています。また、ほぼメンテナンスフリーです。
クラウドストレージを利用する方法もありますが、クラウドストレージの場合は、データがインターネット経由で外部のサーバーに移動するので、機密ファイルなどには利用できません。また、アクセスする人数が増えてくると、料金が高くなります。
その点、LANに接続して使用するNASは機密性が高く、固定の料金がかからないので便利だと言えます。
NASの拠点間VPNネットワーク利用
NASは、LANに接続したら利用できるので便利なのですが、外部からNASにアクセスするためには、特別な設定が必要となります。ちなみに、外部からアクセスすることを「リモートアクセス」といいます。
NASにリモートアクセスする方法はいくつかありますが、手軽な方法として、NASのメーカーが提供する中間サーバーを経由してNASにアクセスする方法です。もちろん、この方法は外部サーバーにデータが行ってしまうので、安全とは言えませんし、経路が間接的になるので通信速度が遅くなる恐れもあります。
そこで、NASにダイレクトに、かつ安全に接続できるVPN接続をおすすめします。
VPNとは、「Virtual Private Network」の略で、インターネット回線にパスワードで保護された仮想ネットワーク回線を構築し、その回線を利用してNASに直接アクセスする方法です。VPNを利用すると、外部にいても、自分のPCをあたかも社内のLANに接続したように、NASを利用することができます。
VPNで拠点間接続してNASを利用
VPNは、拠点間で接続することもできます。
例えば、東京本社と名古屋支店のオフィスのそれぞれのLANをVPNで接続し、本社から支店のLANへ、または支店から本社のLANへ、VPNで安全に接続することができます。しかも、あたかも同じ場所のLANの如く利用できます。
すると、東京本社にNASを設置し、名古屋支店から東京本社のNASにアクセスして、社員全員でデータを共有することができます。
拠点間をVPNで接続する方法は、それぞれの拠点にVPNルーターを設置し、拠点間が接続できるようにVPNルーターにプログラムをインストールし、設定します。
拠点間VPNの敷設工事なら、実績豊富な当社にお任せください。
NASを拠点間VPNで利用すると遅くなる場合がある
東京に設置されているNASを東京の人が使用すると、構内LANで接続されているので、高速通信が可能です。最近のLANは、理論上10Gbpsの回線速度のものもあるので、回線は難なく利用ができます。NASも、メモリ容量の大きなものを導入すればサクサクと動作してくれます。
しかし、名古屋支店から、重たいデータを東京本社のNASに保存する場合、VPN経由だと遅くなる場合があります。
名古屋支店の重たいデータは、インターネット回線内のVPNを通じてNASに送られます。東京-名古屋間のインターネット回線の速度によって、NASへの保存速度が決まります。もちろん、同時にNASにアクセスする人が複数人いたら、余計に遅くなります。
NASをVPN経由で同時利用する人数が増えてくると、NASの動作速度が遅くなったように感じるのです。
次に、この解消方法をご説明いたします。
両方の拠点にNASを設置し2台を同期させて速度を改善
東京と名古屋の両方の拠点で同じNASを導入し、東京の人は東京のNASを、名古屋の人は名古屋のNASを利用するようにします。
このままですと、東京の人が名古屋のNASにアクセスしにくいですし、その逆に名古屋の人が東京のNASにアクセスし難いままです。そこで、どちらかのNASのデータが書き換わったら、2台のNASをVPN経由で自動的に同期させる設定をします。
同期とは、データのバックアップの用語で、2台のストレージのうち1台のデータが書き換わったら、もう1台のストレージにデータを写して、2台が同じデータになるようにすることです。この設定をNASにするのです。
すると、東京の人が、東京のNASにデータを新規保存したり、データを上書きしたときに、東京のNASのデータが名古屋のNASに写されて、東京のNASと名古屋のNASのデータが同じものになります。
名古屋にいる人は、東京の人が書き込んだデータが、名古屋のNASに写されてからアクセスすると、拠点内のNASにはLAN回線での接続になるので、とても快適に利用できるわけです。
ちなみに、この拠点間のNASの同期は、ほぼリアルタイムで行われます。
もちろん、NASは2台で同期できるものを導入する必要があります。
VPNで2拠点のNASの同期をするメリット/デメリット
VPNで2拠点のNASを同期するメリットをまとめると、次のようになります。
- 各拠点のNASをそれぞれの場所で、拠点内LAN回線で利用するので、NASへの高速アクセスが可能。
- NASの2重化により、NAS故障時のバックアップが実現。
- NASが離れた場所に設置されるので、災害対策のデータバックアップも実現。
- NASのデータは閉鎖網のVPNで同期され、データが外部に出ないので、データの機密性が高い。
もちろん、多少のデメリットもあります。
- 操作ミスで間違ったデータを上書きしてしまったり、間違ってデータを消してしまったら、両方のNASのデータが使えなくなる。
- NASが複数導入されるので、導入コストがかかる。
1番目のデメリットは、どちらかの拠点の空いたストレージに前日のバックアップを取るようにしておけば、バックアップデータにて復旧が可能です。また、2番目のデメリットですが、拠点内でNASを快適に利用できるメリットにて、相殺してくれるものと思います。
ちなみに、3拠点のNASを同期させることもできますが、バックグラウンドでデータ通信料が増えるので、場合によってはVPN回線が顕著に重くなることが多いため、おすすめできません。
以上、VPN接続されたNASの使用頻度が増えて、NASのアクセス速度の遅さが気になったときの対処法をご説明いたしました。
2拠点に同じNASを設置し、VPNで接続し同期させることで、拠点間VPNの回線を利用することなくLAN回線でNASにアクセスができるので、NASを快適に利用できるようになります。
当社は、名古屋を中心として、お客様のご利用事情に合わせて、VPN回線の敷設やNASの設置・設定、活用法のご提案等をご支援しております。VPNの敷設工事サービスの詳細は、こちらのページをご覧ください。
VPN工事やNASの設置なら、お気軽にご相談ください。